産業医からみた就労の実際と課題 ~職場での心の交流のコツ~

日時 令和3年 11 月20日(土) 13:30~16:00
場所 北九州市立戸畑生涯学習センター 第2集会室
講師 産業医科大学大学院医学研究科産業衛生学専攻医学部医学概論教室 教授 藤野昭宏先生

講話の概要

  • 苦悩する人に共感するうえで、マリノフスキーの文化人類学的調査に学ぶべき点がある。
    1人間としての自然な共感(役割や役職を離れた個人として向き合う)、
    2共感に基づく異文化理解、
    3異文化・自分化・客観性の共存が重要である。
  • 同様に、臨床人類学にも学ぶべき点がある。患者の生活文化と医師の医科学文化が異なるように、親と子のコミュニケーションは異文化交流であり、親と子は別人格の文化を有するものである。親の考えや経験は子に当てはまらない。子は親に共感を求めている。一人の人間として、子の苦悩の経験に共感して立ち向かうこと、客観視することが必要である。
  • コミュニケーションとは、相手に共感することである。共感するためには、相手の話を批判せず、そのまま受け入れ、相手の立場になって感じることである。相手の「心の鏡に徹する」ことが重要である。 その上で素直に感じたことを聴き返すと、心のつながりを相手が実感できる。
  • 社会で生きるための技術は
    1誰にでも挨拶をする、
    2正直に生きる、
    3無駄遣いはしない。
    これがソーシャルスキルの基本で、誠実で真摯な態度につながる。特性は変わらないが、社会で生きる技術を身につけ人間的に成長できる。
  • 支援者には第三者の視点がある。家族による解決は難しい。支援者の積極的なサポートは安心である。

感想(一部抜粋)

  • 藤野先生の講義は、大変わかりやすく、心理・哲学的な面でのご講演は、なかなか聴く機会がなく、有意義な時間でした。先生のご講話にしみじみ感じ入り、共感できることばかりでした。
  • 子どもとの接し方についてのお話をたくさん聞けて、大変勉強になりました。私自身が、自己肯定感が低いことに気が付きました。子どもも自分も、自分自身を好きになれるように生きていけたらいいなと思いました。藤野先生のお話はおもしろいので、今後もぜひ、お聴きしたいです。
  • 親として、典型的な指導をしてきたので、本当に目が覚める思いがしました。
  • テーマが興味深く、私自身障がい者の就労支援をしているので、受講させてもらいました。とても気さくにやさしく、教えていただきましたので、「スッ」と入りました。利用者さんとの関わり、ひいては職場の同僚などとの関わりのヒントもたくさんいただきました。発達障碍者の方の就労支援での大きなヒントや視点もいただけたので、支援に活かしていきたいです。また、ご講演を聞かせてください。
  • 今日のお話を、今後の子どもとの向き合い方の参考にさせていただこうと思います。今後も、働く上での困難を解決するためのヒントとなるようなお話が聞ければうれしいです。
  • 資料の最初のほうの実例とその対応、特性に向いた職場を詳しく知りたかったのですが、今回聞けなかったのが、残念です。
  • 支援者の立場からお聞きしました。親ではなく、施設職員としての就労支援の仕方について、お聴きしたかったです。